このブログでは HR/HMバンドの最高傑作アルバムを、読者の皆さんの投票で決定しようとディスコグラフィを兼ねてまとめています。
「そんであんたはどれなのよ?」と言うことで、私(HARD ROCK 大好き)の LEATHERWOLF 最高傑作をレビューさせていただきます。
LEATHERWOLF 2ndアルバム レビュー
トリプルギターと分厚いコーラス
アメリカ産の正統派メロディアス・ハードロックバンド LEATHERWOLF の1987年リリースの2枚目アルバム(邦題:メタル・コーリング)。
今でも収録曲のクレジットを見た瞬間に、即座に脳内再生される名曲の数々。
いやあー、本当に良く聴き込みましたこのアルバムは。
クオリティの高い楽曲が揃ったホントに隙の無いアルバムです。
レザーウルフの特徴は何と言っても、ギター2人に加えてリードヴォーカルもギターを弾いちゃうトリプル・ギター編成。
まるで銭湯の中で弾いているようなリヴァーヴ全開のギターサウンドが時代を感じさせます。
ややこもりがちの、わざとらしい分厚さを強調したミキシングですね…。
それはさておき、このバンドで特筆すべきは何といっても土台となるメロディセンスが滅茶苦茶に素敵ということ!。
まるで欧州勢を思わせるような叙情性とドラマティック性に溢れており、巨大な劇場ホールでオペラを聴いているかのような世界観に引き込まれていきます。
(オペラとか観たこと無い癖に…テキトー書いてます…。)
そしてもう一つは「大仰で荘厳な分厚いコーラス」ですね。
やたらに乱発される「Hey !」の掛け声。
もはや「Hey !」のお手本的な完成度、間違いなくワールドクラスの「Hey!」です。
感情表現豊かにしっとりと歌い上げるヴォーカルと、このコーラスがライブで再現できたなら、どえらいことになるんだろうなと当時は想像を膨らましていました。
狂信的なファンの掛け声が凄まじい MANOWAR のライブ光景なんかが脳裏をよぎります。
シーンの潮流に乗りきれなかった王道ハードロック
1985年リリースのデビュー作では、NWOBHM(ぶっちゃけもろIRON MAIDEN風?)を意識した音楽性を前面に押し出した二番煎じ感が満載でしたが…。
本作は完全にパクリ感を払拭し、LEATHERWOLF の個性が確立された素晴らしい内容となっています。
正統派様式美を追求した楽曲構成は聴く者のテンションをこれでもかと爆上げし、キャッチーで印象に残るサビメロは各楽曲の個性を際立たせています。
ノリやスピード、パワー感だけに頼らない、あくまで王道を歩むミドルテンポの楽曲は、細部まで良く練られた完成度を備えていますね。
これほどのクオリティを誇るアルバムが当時は何故ブレイクできなかったのか?。
「あと数年早くシーンに登場していたら」BIG NAME に大化けしていた筈と確信すら持てます。
シーン潮流に乗れずに圧倒的な過小評価に散った悲しい名盤であることは間違いありません。
バンドメンバー・収録曲
バンドメンバー
- ヴォーカル: マイケル・オリビエリ(兼ギター)
- ギタ ー : ジェフ・ガイヤー
- ギター : キャリー・ハウ
- ベース : ポール・カーマン
- ドラムス : ディーン・ロバーツ
収録曲
- Rise or Fall
- Calling
- Share a Dream
- Cry Out
- Gypsies and Thieves
- Bad Moon Rising
- Princess of Love
- Magical Eyes
- Rule the Night
おすすめ楽曲
Rise or Fall
いや~たまりませんね、この「もったいつけ感」。
オープニングに相応しい「大げさスケール感」と「欧州風の正統派様式美」で荘厳さが半端ないです。
トリプルギターによる劇的なイントロ。
ボヤっとはしてられない容赦ないリズム変化と変調の展開。
6分半の長さを全く感じさないまま世界観に一気に引きずり込まれる名曲です。
The Calling
続くアルバム2曲目はヘヴィなリフで始まるミドルテンポの渋い楽曲。
自らを”リズムマシーン”と名乗るドラムが、絶妙の「タメ」と「おかず」を繰り出しながら聴いていて心地よいドラミングを披露しています。
サビに向けての哀愁メロディラインには、待ってましたの「重厚コーラス隊」がここぞとばかりに乗っかってきて盛り上げまくってますね。
Share a Dream
アルバム3曲目に収録のパワーバラード楽曲。
まるで HEART の名曲「ALONE」を想起させるようなイントロ。
そうそう、これこれ。
これなんですよね~欲しかったのは。
このわざとらしい世界観は謎の仮面バンド「Crimson Glory」辺りを思い出してしまいます。
闇夜の通り魔的に突然に切り込んでくるギターソロでは、リズムが少しだけアップ。
哀愁の泣きフレーズをこれでもかと連発でかましてきます。
Cry Out
でました。
ワールドクラスの「Hey !」で始まる1980年代を象徴するような正統派ミドルテンポ楽曲。
ギターソロではイングヴェイもビックリ(多分していない)の見事な速弾きフレーズと構成で魅了してくれます。
Gypsies and Thieves
IRON MAIDENを彷彿とさせるドラマティックな曲展開が冴える大作曲。
後にもてはやされる事になる、複雑極まりなくただ悪戯に曲展開をこねくり回す劇場型バンド達に、爪の垢でも煎じて飲ませてあげたくなりますね~。
メロディとリズムを自然に無理なくダイナミックに展開させながら、ドラマティックに楽曲として紡いでいく能力は本当にお見事です。
まとめ
本作でバンドのポテンシャルが見事に解き放たれたLEATHERWOLF の最高傑作。
壮大なスケール、荘厳な世界観の楽曲を生み出すトリプルギターと分厚いバックコーラス体制もさることながら。
何よりもベースとなるメロディセンスと練りに練られた曲展開能力が魅力的なバンドでした。
幸いなことに、いまだ活動の鼓動は止まっていないようで…。
今後も新たな作品をサプライズリリースしてくれることを楽しみの一つとして期待したいですね。