SCORPIONS ベストアルバム投票

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SCORPIONS ベストアルバム

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SCORPIONS アルバムディスコグラフィ

1965年に結成されたSCORPIONSはジャーマンHR/HMの先駆者バンドとして、世界的な人気を獲得してきました。
マイケル・シェンカーのお兄さんであるルドルフ・シェンカーを中心に長年に渡りHR/HMシーンの先頭を駆け抜けてきた大御所バンドですね。
初期のアルバムのジャケットデザインで物議を醸し、発禁ジャケットバンドとしてもその名は有名。
1970年代から現在に至るまでの長期の活動の歴史は、HR/HMの歴史そのものでもありHR/HM界の生き字引的存在ですね。
 

Lonesome Crow

1972年リリースのデビューアルバム(邦題:恐怖の蠍団)。
  • ヴォーカル: クラウス・マイネ
  • ギター  : マイケル・シェンカー
  • ギター  : ルドルフ・シェンカー
  • ベース  : ローター・ハインベルク
  • ドラムス : ヴォルフガング・ジオニー
マイケル・シェンカーが正規メンバーとして参加の唯一のアルバム。
1960年代を引きずった状態で真っ暗なトンネルをゆっくりと進むかのようなどんよりと暗いムードが漂っています。
音楽性の方向感も定まっていない印象で、その後の SCORPIONS 作品とは完全に異質なプログレッシヴな面も垣間見れる作品。
マイケル・シェンカーのギターはそれなりに弾いているので、ギタープレイ中心に聴き込むのもこの作品の楽しみ方の一つですかね。

 

Fly to the Rainbow

1974年リリースの2ndアルバム(邦題:電撃の蠍団)。
UFO に移籍したマイケル・シェンカーの代わりにウリ・ロートが加入。
ベースもフランシス・ブッホルツ、ドラムもヨルゲン・ローゼンタルに代わっています。
先ずはジャケットデザインが凄いことになってますね。
虹色の鮮やかな色調をアクセントに、逆竹コプター発想で足にプロペラを付けて空を飛ぶという大技が繰り出されています。
謎インパクト絶大で見た人の記憶に残るジャケットですね。
楽曲もメリハリがついた内容で多彩な側面を惜しげもなく披露。
文字通りスピーディなオープニングの「Speedy’s Coming」。
フラメンコ調の「They Need A Million」。
ド演歌調でウリのギターが泣きまくる「Fly People Fly」などなど色彩豊かな四次元ポケット状態。
更に、締めのタイトル曲「Fly to the Rainbow」はドラマティックな静と動の展開構成とウリの気合い十分なギターソロが楽しめますね。

 

In Trance

1975年リリースの3rdアルバム(邦題:復讐の蠍団)。

本作から10枚目アルバム「Savage Amusement」までディーター・ダークスがプロデュースを担当。

オープニングから初期 SCORPIONS の名曲が「怒涛の合格~byみすず学苑」のごとく押し寄せる名盤。

「怒涛のみすず学苑」は関東ローカルなネタですので、TVCMの一例動画を貼っておきましょう。

SCORPIONS のコアなファンはウリ時代の初期作品を激推ししていることが多いように思います。

本作を聴くとそれも納得の「仰せごもっとも」となる筈。

まるで暗闇が深いほどに世空の星が輝いてよく見えるかのように、鉛色の曇天のようなムードの中でジャーマン・ハードロックの猛烈な泣きメロの美しさがより際立ってきます。

それにしてもギター仙人ウリのプレイは一語の形容詞で表現するならば「うねり」ですかね。

オープニングから美しく「うねり」まくっています…。

 

Virgin Killer

1976年リリースの4thアルバム(邦題:狂熱の蠍団)。

当時まだ少年だった私は洋楽レコードには発禁ジャケットというものが発生することをこの作品で知りました…。

確かに児童ものはいけません…。

しかし、本作の凄さはそんなジャケットの話題がどうでも良いと思えてくるほどにパンチのある楽曲が多く収録されていることですね。

前述の「ウリ時代初期派」の方々の中ではバンド最高傑作と位置付けられることも多いようです。

オープニング楽曲の「Pictured Life」は高校時代に組んでいたバンドでもコピーしました。

ツインギターでハモリながらトリルを連続するギタープレイは、非常にステージ映えするというか何というか…。

ギターを弾かない人にとっては、2人のギターがせわしなく指を細かく動かしながらネックを上下動させるトリルの動きが「何だか凄いことやってる」ように見えるようで…。

後方から見ているバンドメンバーのドラムにまでも「格好良い!」と褒められました。

続く2曲目の疾走感のある「Catch Your Train」。

ウリがキレ気味に弾きまくっている「Virgin Killer」。

ウリの空耳ヴォーカルが不気味な「Hell Cat」。

とどめのラストは落ち込んだ時に決して聴いてはいけないダークバラード「Yellow Raven」。

クラウス・マイネのヴォーカルスタイルが完成形になりつつあり、ウリの織り成す世界観との融合が進行しつつあることが実感できるこれまた初期の名盤ですね。

 

Taken by Force

1977年リリースの5thアルバム(邦題:暴虐の蠍団)。

ドラムスがハーマン・ラレベルに交代。

ギターのウリ・ジョン・ロート在籍最後のアルバムとなりました。

前作「Virgin Killer」同様に初期の名曲と評される楽曲が揃っていて、アルバムを通して聴いてて飽きることがありません(飛ばし曲なし)。

後にイングヴェイがカバーしたことでも知られる「THE SAILS OF CHARON(カロンの渡し守)」は、まるでウリ・ジョン・ロートのバンドに対する惜別曲のようにも思います。

ジャケットデザインの「墓場での銃撃戦」はテロを想起させるという理由で発禁となった国もありました。

何ともたくましい想像力です…。

 

Lovedrive

1979年リリースの6thアルバム。

ギター仙人ウリ・ジョン・ロートが脱退しマティアス・ヤプスが加入。

失業中だったマイケル・シェンカーも数曲で参加しています。

これまでの作品でいずれも大きなインパクトを残してきたオープニング楽曲がパンチ不足との不評の声が上がったものの、灰汁の強めな個性的な楽曲が揃った作品。

ウリ仙人の湿気を帯びた泣きメロが減った分、乾燥気味の空気をルドルフ・シェンカーのカッティングが鋭さを増して切り裂いています。

後に突然変異的に覚醒するマティアス・ヤプスのポテンシャルはこの時点では未だ秘められたままですね。

ちょっとエッチなヒプノシスのジャケットデザインは女性団体の目の敵にされまたまたアメリカで発禁騒ぎとなりました…。

 

Animal Magnetism

1980年リリースの7thアルバム(邦題:電獣)。

もはやあえて狙いに行ってる感のジャケットデザインで想定通りに難癖のついたアルバム。

話題作りとしては成功したものの、肝心の中身の楽曲の出来映えにムラがある印象で「名盤」などとは無責任には書けません…。

前作での助っ人マイケル・シェンカーも不在でマティアス・ヤプスの真価が問われた作品でしたが、未だ覚醒せず…。

しかし、特定の楽曲では後に代名詞ともなるゲロゲーロなトーン(勝手に言ってます)が片鱗を見せ始めていますね。

 

Blackout

1982年リリースの8thアルバム(邦題:蠍魔宮)。

加入3作目にして遂にその真価を表したマティアス・ヤプスのギター!。

あまりに巨大過ぎて振り払うのに時間が掛かったギター仙人ウリ・ジョン・ロートの残像からようやく解き放たれた印象です。

長嶋茂雄の濃いヒゲも一網打尽に刈り取るようなカミソリリフで始まるオープニングのタイトル楽曲「BLACKOUT」。

吹っ切れた感のあるマティアス・ヤプスの予定調和を無視したソロフレーズに思わず武者震いしそうになります。

続く2曲目以降も蟻の子一匹通さない隙の無い楽曲が押すな押すなのおしくらまんじゅう状態。

一曲、一音たりとも聴き逃せない1980年代ハードロックの歴史的名盤と言って良いでしょう。

 

Love at First Sting

1984年リリースの9thアルバム(邦題:禁断の刺青)

BLACKOUTでアメリカでの成功の手ごたえをつかんだSCORPIONS。

9作目で満を持して叩きつけたバンドの集大成的大名盤「Love at First Sting」。

前作同様に全曲シングルカットしちゃってよと無責任に叫びたくなる程にブラッシュアップされた楽曲群。

HR/HM黄金期の1980年代にして屈指とも言える出来映えのアルバムですね。

何と言ってもルドルフ・シェンカーの掻き鳴らす強烈なリフが最高!。

そしてマティアス・ヤプスのゲロゲーロトーンにも一層の磨きがかかり楽曲中にも縦横無尽に 駆け巡るオブリガードと全く予測不可能なソロフレーズ。

クラウス・マイネのヴォーカルも円熟の域に達している感があり、まさにバンドとしての絶頂期を迎えています。

 

Savage Amusement

1988年リリースの10thアルバム。

前々作の「」前作の「」でまさにアメリカ市場での成功の方程式を習得したSCORPIONS。

本作ではもはや熟成の域に達したトロトロの良質メロディを思う存分に提供しまくってくれてます。

さすがにただの売れ線狙い一辺倒の魂売り渡しバンドではないのがミソで、根底にはジャーマン・メロディアス・ハードロックの先駆者としてプライド、哀愁、湿気もしっかりと含有。

ヒットチャートを狙えるポップな曲もありながら、地味で暗~い世界観で全体を上手く調和させた感じがします。

初期からのコアなファンにもあからさまに離反されるような能天気な内容にはなる筈もなく、地に足の着いたSCORPIONSならではのアイデンティティを確認できますね。

 

Crazy World

1990年リリースの11thアルバム。

ジャーマン・ハードロック(メタル)の大御所としての地位を確固たるものとしたSCORPIONSが余裕の貫録でその実力をシーンに誇示した名盤。

既にマーケットでの成功の方程式を体得したバンドにとっては、造作なく産み出せてしまいそうな良質楽曲のオンパレードですね。

しかし、裏を返せばジャケットデザインが物語るように、かつての挑戦的、挑発的な鼻息の荒さは影を潜めたようにも感じます。

車で言えば「いつかはクラウン」のクラウンを手中にしてしまった後に、さてどうしましょって感じでしょうか…。

巨大戦艦がそう簡単に舵を切れないのと同様、BIG NAMEと化したバンドがこの後の舵取りにどう進んでいくのか…。

一抹の不安を感じさせた作品でもありました…。

 

Face the Heat

1993年リリースの12thアルバム。

ベースのフランシス・ブッフホルツが脱退しラルフ・リーカーマンに交代。

アルバムの印象を決定づける非常に大きな要素であるオープニング楽曲に「ALIEN NATION」をもってきた時点で勝負ありって感じ…。

すでに1980年代を謳歌したメロディアス・ハードロック時代には暗雲が立ち込める中、ヘヴィ&ダークな雰囲気の楽曲を敢えてトップバッターとして起用。

この選択がやや安直過ぎたのか、リスナー側の心の準備、受け入れ態勢とのギャップが生じマーケットでの反応は今一つとなりました。

変化し続けなければ確実に衰退していくことは解っていても、その巨体がゆえに変化の仕方の難しさを如実に感じさせた作品でした。

 

Pure Instinct

1996年リリースの13thアルバム(邦題:蠍の本能)。

前作でやや消化不良の胃もたれ感を感じつつも、SCORPIONSを信じて無条件購入し続けた本作。

祈るような思いで聴いたオープニング曲「Wild Child」は、SCORPIONSらしさを感じさせる良曲でほっと胸を撫で下しましたが…。

聴き進んでいくにつれ、当時のシーンの潮流であったヘヴィ&ダークの波に屈しない方法論として「バラード」という捻り技を選択した印象に…。

それはまるで相手の力をつかって自身の攻撃へと変化させてしまう「合気道」のようですね。

しかしながらその世界観には当然ながら足を止めてノーガードで撃ち合うような全身の血が沸騰するかのような熱い刺激は得られず…。

「ほぉ~、なるほど、お見事」と静かに拍手する程度のリアクションしか望めないことも明らか。

ジャケットデザインでは例によって物議を醸したものの、内容との整合性には全くもって疑問符がつき中途半端感が否めず…。

そろそろ大御所バンドの新譜と言えども無条件購入は考え直さねばと思い始めた作品。

 

Eye II Eye

1999年リリースの14thアルバム。

SCORPIONSというよりもシーン全体に愛想をつかしてしまい距離を置いていたこの時期。

余程の作品でない限りは新譜の購入も控えていました…。

失礼ながら、後になって聴いてみても「あぁ、やっぱりそうだったのね…」という程度の印象でしかなくコメントのしようも無いのが正直なところ。

年相応の円熟味を帯びたジャンルを超越した名盤!などと無責任に誉めることなど、正直者の私には絶対にできません…。

 

Unbreakable

2004年リリースの15thアルバム(邦題:反撃の蠍団)。

ベースがラルフ・リーカーマンからパヴェル・マチヴォダに交代。

前作から5年ぶりの新譜となった本作。

アコスティック盤やオーケストラ協演などひと通りのやりたい事はやった感があり、リフレッシュ明けの清々しさみたいなものを感じます。

ジャケットデザインからして小細工無しの原点回帰の姿勢が見て取れますね。

思い切りの良いリフとフックとキャッチーさを兼ね備えた歌メロというSCORPIONSの真骨頂が復活した作品と言えます。

特にアルバム前半の楽曲の充実度が高すぎて後半にスタミナ切れを感じさせるほどに飛ばしまくっていますね。

欲を言えばマティアス・ヤプスにもう少し弾かせまくってあげて欲しかったところに物足りなさも…。

SCORPIONSの楽曲にはマティアス・ヤプスのゲロゲーロトーンのソロが不可欠だと再認識した作品でした。

 

HUMANITY: HOUR I

2007年リリースの16枚目アルバム(邦題:蠍団の警鐘)

前作でようやく脇道から本線に戻ってきたバンドが、本腰入れて走ってくれた印象の名盤。

ヒットメイカーとして知られるDesmond ChildとLiam Carlによって書かれたストーリーをベースとしたコンセプトアルバム。

機械と人間の戦争により分断された世界での物語。

さすがに腰が入った納得の楽曲作りがなされており、収録全ての楽曲のクオリティ、磨き込まれ具合が伝わってきますね。

いかにもなジャケットデザインにはややわざとらしさも感じますが…。

それにしても年齢を重ねたSCORPIONSがここまでパワフルかつ適度に時代のエッセンス(硬質・ヘヴィネスな音像)を盛り込んだアルバムをリリースしてくれたことに素直に感謝。

巷でも良い歳こいたおっさんが痛々しい若作りしているのをよく見かけますが、そんな残念オヤジな内容になってないのがさすがです。

 

Sting in the Tail

2010年リリースの17枚目アルバム(邦題:蠍団とどめの一撃)

邦題の通り一旦はラスト作として報じられた渾身の一作(後に引退は撤回)。

前々作の「Unbreakable」にて原点回帰したバンドがより鮮明に全盛期の音像を取り戻した名盤。

脂の乗り切った1980年代の傑作群にも勝るとも劣らないSCORPIONSらしさ満開の傑作ですね。

ジャケットデザインも老舗バンドの風格と威厳を感じさせる重みがあります。

吹っ切れた感のある爽快・明朗なハードロックと十八番のバラードは、これまで培ってきたキャリアのまさに集大成。

どこかで聴いたような…とか野暮なことは言わずに素直に体感したい純度の高いスコピー節に酔いしれたいですね。

 

Return to Forever

2015年リリースの18枚目アルバム(邦題:祝杯の蠍団)。

前作「Sting in the Tail」で一旦は引退を宣言したものの撤回。

バンド結成50周年を迎えた5年ぶりの記念すべき新作。

とは言え、楽曲の多くは過去の未発表曲の再アレンジものも多く、際立ったインパクトには欠ける印象。

この手の復活時にありがちな微妙な白けムードは否めず、楽曲のクオリティに比較したマーケットでの反応は今一つだった作品。

次の引退宣言時は本当に慎重に発言しないと、いくらSCORPIONSと言えども「引退詐欺」とか烙印を押されかねないので注意が必要です。

 

Rock Believer

2022年リリースの19枚目アルバム。

全世界的規模のコロナ禍や地政学的な混乱を経て、ベテランSCORPIONSがどげんかせんといかんと使命感に燃え、ハードロックを通じて世界に発信したメッセージ。

と言ってしまうと妙に仰々しいですが、そんな音楽ならではが持つ聴く人を勇気付け訴えかける力を再認識させられます。

そして本作の大きなトピックはドラムスのミッキー・ディーの加入。

まさかあのMOTORHEADのダイナモがSCORPIONSに加入するとは…。

(途中若干のブランクがありますが…)NWOBHMムーブメント時代からHR/HMをリアルタイムで聴き続けてきた者にとっては全くもって信じられない事態。

時は確実に流れており時代は明らかに変わってきていることを実感させられます。

収録楽曲には1980年代作品のような突出した名曲こそ見当たらないものの、ベテランならではの酸いも甘いも知りつくした百戦錬磨の良曲が詰まった名盤ですね。

 

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